結論から。ドル円やユーロ円のように円が絡むペアでは、1pips=0.01円(1銭)。ユーロドルのように円が絡まないペアでは1pips=0.0001(ドルなどの通貨単位)です。損益は「動いたpips × 1pipsあたりの金額」で出ます。ドル円を1万通貨で持っていれば、1pipsで100円、10万通貨(この記事では1lot=10万通貨と仮定)なら1pipsで1,000円です。
ただし、1pipsの定義はFX会社によって違う場合があります。この記事の数字は一般的な定義での計算で、お使いの業者の取引画面で必ず確認してください。計算例は全部、説明用の架空の数字です。実際の取引や実績ではありません。
pipsとは何で、なぜ必要なのか
通貨ペアによって、レートの桁数が違います。ドル円は「150.123」のように小数点以下2〜3桁。ユーロドルは「1.08123」のように4〜5桁です。「0.5動いた」と言われても、ドル円なら大事件、ユーロドルなら想像もつかない大きさで、同じ0.5でも意味が全然違います。
そこで「ペアごとに決まった基準幅=1pips」で動きをそろえて語れるようにしたのがpipsです。「ドル円が30pips上がった」なら0.30円の上昇、「ユーロドルが30pips上がった」なら0.0030の上昇。数字の見た目はバラバラでも、同じ「30pips」という言い方で比べられます。
もう1つ大事なのは、pipsは値動きの幅であって、お金ではないという点。30pips取ったと言っても、それが300円なのか3万円なのかは、取引数量で決まります。ここを混ぜると、損益の感覚がずれます。
通貨ペア別の1pips
押さえるのは次の2パターンです。
- 円が絡むペア(ドル円、ユーロ円、ポンド円など):1pips=0.01円。レートの小数第2位の動きが1pips
- 円が絡まないペア(ユーロドル、ポンドドルなど):1pips=0.0001。レートの小数第4位の動きが1pips
さらに、現在は1pipsの10分の1(0.1pips)を最小単位にして表示する業者が一般的とされています。ドル円なら「150.123」の末尾の「3」が0.1pips(0.001円)にあたる、という読み方です。
注意点があります。OANDA JAPANの用語解説には、FX会社によっては「1pips=0.001円(0.1銭)」と定義している場合があり、取引前の確認が推奨されている、という旨の記載があります。松井証券の解説にも、1pipsの価値は取引する通貨ペアやFX会社によって異なる、とあります。この記事で「1pips=0.01円」と書くのは、一般的な定義に基づく計算ということです。自分の業者がどうなっているかは、取引ルールか画面の表示で確認してください。
損益の計算式
基本はこの一本です。
- 損益 = 動いたpips × 1pipsの値(0.01円) × 取引数量
円が絡むペアなら、1pipsあたりの金額は「取引数量 × 0.01円」で出ます。
- 1,000通貨:1,000 × 0.01円 = 10円
- 1万通貨:10,000 × 0.01円 = 100円
- 10万通貨(1lot):100,000 × 0.01円 = 1,000円
検算すると、1,000通貨と1万通貨で10倍、1万通貨と10万通貨でさらに10倍。数量が10倍になれば、同じ1pipsの重みも10倍になります。同じ30pipsでも、1,000通貨なら300円、10万通貨なら3万円。この差は大きいです。
1lotが何通貨かは、業者によって違うことがあります。ロットの考え方はロットの記事で扱っています。
計算例1:ドル円を1万通貨で買った場合(架空)
以下は説明用の架空の数字で、実際の取引ではありません。
- 150.000円で1万通貨を買い、150.300円で売った。動いた幅は0.300円=30pips。損益は30 × 100円 = +3,000円
- 同じく買って149.800円で決済した場合。動いた幅は−0.200円=−20pips。損益は−20 × 100円 = −2,000円
売りから入った場合は、レートが下がれば利益、上がれば損失です。符号が逆になるだけで、式は同じです。
計算例2:ユーロドルは「ドル建て」で出る(架空)
ユーロドルを1万通貨で取引すると、1pips=0.0001ドル × 1万通貨 = 1ドル。30pips動けば30ドルの損益です。10万通貨なら1pipsが10ドルになります。
円に換算するには、そのときのドル円レートをかけます。仮に1ドル=150円なら、30ドルは4,500円。ただしこのレートは固定ではなく、決済時点でのレートで円換算の金額が変わる点は覚えておいてください。同じ30pipsでも、ドル円が動けば円での金額は上下します。ここは円が絡むペアとの大きな違いです。
計算例3:損切り幅から「最悪いくら失うか」を出す(架空)
pipsがいちばん役に立つのは、エントリー前の見積もりです。
- 損切り25pips、ドル円1万通貨:25 × 100円 = 2,500円
- 損切り25pips、ドル円3万通貨:25 × 300円 = 7,500円
逆に、許容できる損失額から数量を逆算することもできます。仮に1回の許容損失を5,000円、損切り幅を20pipsとします。
- 1pipsあたりの許容額:5,000 ÷ 20 = 250円
- 数量:250 ÷ 0.01円 = 25,000通貨(2.5万通貨)
- 検算:25,000 × 0.01円 = 250円、これが20pipsで5,000円。一致
ここでは、「損切り幅(pips)と数量が決まれば、最大損失の目安が取引前に出る」という点だけ持ち帰ってください。ただし、急変動やスリッページで、損切り注文が思った価格で約定しない場合もあります。出した数字は、あくまで目安です。
スプレッドもpipsで出る
スプレッド(買値と売値の差)も、pipsで表されます。エントリーした時点で、スプレッド分はすでに不利な位置からのスタートです。
仮にスプレッドが0.3pips、ドル円1万通貨で取引するとします(この数字は説明用の仮定で、実在する業者の値ではありません)。コストは0.3 × 100円 = 30円。10万通貨なら300円です。
短く狙うほど、この差が効きます。仮に利確5pips、損切り5pipsで、コストを0.3pipsとすると、勝ったときの手取りは4.7pips、負けたときの損失は5.3pipsです。1万通貨なら、+470円と−530円。損益が釣り合う勝率は、5.3 ÷ (4.7 + 5.3) = 53%。コストがゼロなら50%ですから、わずか0.3pipsで必要な勝率が3ポイント上がる計算です。幅が小さい取引ほど、コストの割合が重くなります。
よくある勘違い
- 「pips=円」ではない。ドル円では1pips=0.01円だが、1pipsあたりの損益は取引数量で変わる
- pipsを稼いでも、お金が増えたとは限らない。数量が小さければ、100pips取っても数千円で、数量が大きければ数十pipsの逆行で大きな損になる
- 勝ったpipsと負けたpipsの数量が同じとは限らない。10回中7勝でも、負けのときだけ数量が大きければ、金額ではマイナスになる
- 通貨ペア間で、pipsを単純に比べられるとは限らない。1pipsの円換算は、ペアで違う
- 取引画面の表示はpipsか円か。業者やツールによって違うので、最初に確認しておく
損失リスクについて
pipsで損益を見積もっても、実際の取引では、スリッページ(注文価格と約定価格のズレ)が起きたり、急変動で損切り注文が想定どおりに約定しなかったりします。レバレッジを使った取引では、短時間で大きな損失が出ることがあり、損失が証拠金を超える可能性もあります(レバレッジの記事、必要証拠金の記事参照)。pipsの計算は、損を避ける魔法ではなく、損をしたときの大きさを取引前に知るための物差しです。
まとめ
- 円が絡むペアは1pips=0.01円、円が絡まないペアは1pips=0.0001(一般的な定義。業者により違う場合あり)
- 損益 = 動いたpips × 1pipsの値 × 取引数量。ドル円は1万通貨で1pips=100円、1lot(10万通貨と仮定)で1,000円
- 円が絡まないペアは、損益が外貨建てで出て、円換算は決済時のレートで変わる
- 取引前に「損切り幅(pips)× 1pipsの金額」を出して、最悪いくら動くかを把握する
- スプレッドもpipsで、幅が小さい取引ほど響く
この記事は特定の売買を勧めるものではなく、利益を保証するものでもありません。取引で損失が出る可能性があります。
出典と確認日
確認日:2026年10月30日。pipsの一般的な定義と、業者により1pipsの定義が異なる場合がある点は、次の2ページの記載を確認しました。
- OANDA JAPAN 用語解説「pips(ピップス)」:円が絡むペアは0.01円、円が絡まないペアは0.0001を1pipとすること、0.1pipを最小単位とするのが一般的なこと、会社により1pip=0.001円と定義する場合があること
- 松井証券 FX用語集「pips」:ドル円で1pips=0.01円が一般的であること、0.01円×1万通貨=100円の損益になること、1pipsの価値は通貨ペアやFX会社で異なること
それ以外の計算(損益、数量の逆算、スプレッドを含めた勝率など)は、筆者が検算した算術です。レート、スプレッド、損切り幅、許容損失額などの数字は、すべて説明用の仮定で、実在する業者や取引の数字ではありません。


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